歯列矯正治療は、日本ではあまり一般的とは言えません。この理由として、矯正治療をするところが少ないこと、また治療費が高額になりがちなことなどが挙げられます。このうち治療費は特に、保険制度を利用することができないため、患者となるべき方を圧迫してしまっているのが実情です。

歯列矯正には、治療と見なされる矯正と、審美性追及と見なされる矯正の2つのタイプに分けられます。このうち、健康保険が適用可能なのは前者の治療行為のみです。特に顎の形状に障害がある場合には手術が必要で、健康保険はほとんどが適用されますが、美容整形と絡んだ処置と見なされる場合は保険適用外、というのが一般の深い認識としてあります。
また保険が適用できない場合は、その治療費は病院ごとに自由設定が認められています。このことは治療のレベルをアップさせることにも寄与しますが、高額であるからといってそれだけレベルがアップするとは一概には言えません。

最も一般的な矯正装置であるブラケットとワイヤーは治療例が豊富で、その分失敗の可能性が少ないというメリットがありますが、最近は透明なブラケットや裏側矯正用の装置が普及しはじめ、それらの値段はブラケットよりもかなり高額になる場合が多く、このため自由診療の費用がますます高額化してきています。

矯正治療をおこなった場合、保険適用の有無に関わらず、医療費控除の対象となる場合が多くなります。医療費控除とは、医療費として発生した支出が所得控除の対象になるシステムです。また、日本矯正歯科学会が認定している歯科院での治療であればほとんどが控除可能です。最高200万円までが控除額となります。所得税率を掛けた金額が還付金として戻ってくることになりますので、申請に関する不明点があれば税理士等に相談するのがお勧めです。
虫歯一本の治療費も安くはないのが現実ですので、矯正治療を受けるためにはまず事細かな知識を得ていくことが大切と言えます。