大人になってから歯列矯正を行おうとしても、会社の仕事の都合で予約した日に思うように病院に通院できない場合が多々ありますので、歯列矯正の治療期間の長さが多くの歯列矯正希望者の治療に踏み切る決断のネックになっていたと言っても過言ではありません。それに大人になってからの歯列矯正の目的の多くが、何かに備えて笑顔や口元の美しさを求めているのですから、その日に間に合わせるといった意味でも、スピート矯正の需要は高まっているのです。
そこで開発されたのがコルチコトミーやオステオトミー、インプラント等を併用舌治療です。矯正期間は従来の1/4から半分ほどに短縮されます。症状や個人差にもよりますが、患者の80%以上が半年~8ヶ月で治療が終了する治療法です。
どうしてそんなに早く矯正ができるのか、将来的に歯に負担はかからないのか心配な人もいるかもしれませんが、従来の矯正は歯の新陳代謝に任せて自然に歯槽骨が動かしたい正しい方向に移動させていましたが、この歯の動く仕組みを骨の新陳代謝に任せず、人工的に骨に切れ目を入れる等して手を加えて新陳代謝を早めるといった理屈です。これをスピード矯正と言います。
では、先述したスピード矯正について解説しましょう。

1.コルチコトミー
歯茎を切開して歯肉剥離し、歯槽骨の中の硬い部分(皮質骨)に切れ目を入れ、歯肉を元に戻し、縫合し、通常のブリッジを装着します。歯茎や歯肉は一度切開して縫合すると治癒する過程で血液循環が良くなって切開前よりもキレイな歯茎になり、骨も切れ目を入れても治る時は切れ目を入れる前よりも丈夫になることが分かっています。新陳代謝により、生まれ変わるからです。生まれ変わる時、ブリッジで力を加えてやると負荷がかかった方向へと新陳代謝が進み、歯は通常よりも早く動きます。さらに歯槽骨は丈夫になり、歯茎はキレイなピンク色になるのです。一石二鳥です。こうして治療期間が通常よりも12カ月ほど短縮されます。

2.オステオトミー
歯槽骨の表面にある皮質骨に数ミリ切れ目を入れ、その内側の軟らかい海綿骨にもヒビを入れ、歯根が埋まっている海綿骨共々動きやすくする治療です。この後はコルチコトミー同様の流れでブリッジを装置して歯に負荷をかけます。通常動かす歯が多い場合に行います。

3.インプラント
歯を動かすのに基軸の歯を設定して、そこからブリッジで負荷をかけます。基軸の歯が動くと歯列矯正に悪影響が現れますから、通常は基軸の歯が動かない程度の力で徐々に負荷をかけます。しかし、この基軸の歯をインプラントに代替して基軸を絶対動かない骨とする事ができたら大きな負荷をかけもっと早く歯を動かす事ができます
このように、コルチコトミー、オステオトミー、インプラントを併用して、矯正を行えば矯正期間がかなり短縮されます。但し、骨にメスを入れるわけですから、歯列矯正以外の骨・解剖学的知識等も必要となり、経験豊富な専門医でなければできない治療です。
ですが、手術時間は2時間ほどで、入院せずに日帰りできます。